From:OCN 2023.8 Vol.143

From:OCN：2023.8
Vol.143
「四彩夢紀行」では、季節を感じる各地のトピックスを詰め合わせてお届けします。
移ろいゆく季節の中で、夢心地な旅気分をお楽しみください。

夏を彩る花火大会と祭りの旅へ

夏といえば、全国各地で花火大会をはじめ、有名な祭りや伝統行事が数多く開催される季節。この夏はコロナ禍を経て、通常通りに開かれるイベントも多くあります。夏のイベントを楽しむことを目的とする旅は、普通の旅では経験できない、特別な感動をもたらしてくれます。イベントとともに、その土地の歴史や文化を自然に学べ、祭りなどに参加することで地域の人と同じ体験を共有できるのは、この時期ならではの旅の醍醐味。今年の夏にぜひ訪れたい、四つの夏イベントをご紹介します。

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【絶景】徳島県・世界に誇る「阿波おどり」と眉山山頂から望む美しい夜景

日本三大盆踊りの一つに数えられる、徳島県発祥の伝統芸能「阿波おどり」。毎年8月12日〜15日のお盆期間に開催され、400年以上の歴史を持つといわれています。国内外から約100万人の観光客が訪れ、約10万人の踊り子が参加。徳島市中心部の有料・無料の桟敷席が設けられた演舞場やおどり広場などで、豪快で躍動感あふれる男踊りや気品あふれる女踊りを間近で堪能できます。

本番前日の11日の「選抜阿波おどり大会前夜祭」、そして本番期間中の昼間に行われる「選抜阿波おどり大会」は、人気の有料イベント。有名連による高度で洗練された阿波おどりが楽しめます。夜は演舞場で1,000人を超える踊り子による一糸乱れぬ総踊りなどをはじめ、街角でも繰り広げられる踊りを見ることができます。「踊る阿呆に見る阿呆、同じ阿呆なら踊らにゃ損々」と歌われているように、街角などでは観光客でも一緒に踊れる場合もあります。地元の人と踊る楽しさを共有すれば、特別な思い出がいつまでも心の中に残ることでしょう。

市内中心部には一年を通して阿波おどりを観覧できる「阿波おどり会館」もあり、いつでも阿波おどりの魅力に触れることができます。この会館の5階は、「眉山ロープウェイ山麓駅」となっていて、ロープウェイで山頂まで登れば、雄大な徳島平野のパノラマや大鳴門橋、天気の良い日は紀伊半島までも一望。夜になれば、徳島市の建物にあかりが灯り、キラキラと瞬く美しい夜景も堪能できます。阿波おどりとともに、徳島のシンボル的存在である「眉山」で絶景をお楽しみください。

【歴史】秋田県・日本一権威のある花火大会「大曲の花火」と角館武家屋敷

「大曲の花火」で知られる全国花火競技大会は、秋田県大仙市の大曲地区で毎年8月第4土曜日に開催される「日本三大花火大会」の一つです。全国の一流花火師たちが日本一を目指して技を競い合う大会で、花火界最高峰の賞である「内閣総理大臣賞」が授与されるという、国内では最も権威ある大会です。「日本一の花火師」の証しを手にいれるために、伝統技術の粋を極めた花火や、挑戦・斬新をテーマにした花火などを打ち上げ、匠たちが技を競い合います。

打ち上げられるのは競技花火だけではありません。競技の合間に音楽に合わせて壮大に打ち上げられる「ミュージックスターマイン」も見応え抜群。終盤の「大会提供花火」は全幅約500メートルの華麗なワイドスターマインが大会の名物となっています。この大迫力の音と光の芸術を体感しようと、毎年国内外から大勢の観光客が大仙市を訪れます。

JR大曲駅から電車で約20分の場所にある角館(かくのだて)は、江戸時代に栄えた城下町の街並みが今なお残り、「みちのくの小京都」と呼ばれています。重厚な黒板塀の続く「角館武家屋敷通り」は国の重要伝統的建造物群保存地区に指定されており、古くからの建造物が数多く現存しています。この通り沿いの6軒の武家屋敷が公開されており、400年の歴史を感じる屋敷内部や庭を見学できることでも人気。人力車に乗って通りを巡れば、さらに歴史の旅を心ゆくまで楽しめることでしょう。秋田の木工や民芸品を扱う土産物店、郷土料理である「稲庭うどん」や「比内地鶏親子丼」などを味わえる飲食店もあり、秋田県の魅力を存分に満喫できます。

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【世界遺産】長崎県・伝統行事の「精霊流し」と軍艦島クルーズ

長崎市の「精霊流し」は、長崎を象徴するお盆の伝統行事。初盆を迎えた遺族が故人の霊を極楽浄土へ送り出すために、毎年8月15日に行われます。精霊船は各家や町内合同で板やワラを使って作り、長く突き出した船首には家名や町名が大きく記されます。

故人の趣味や趣向を盛り込み、盆提灯や造花などで飾り付けするので、一隻ごとに異なる個性あふれる船に。大きさも車輪をつけた大型の船や、子どもでも持てるような小さな船、数隻連結した船などさまざま。魔除けの意味合いを持つ爆竹が鳴り響き、「チャンコン、チャンコン」と鐘の音、「ドーイ、ドーイ」という掛け声を合わせながら、船を引いて港の「流し場」まで歩きます。遺族の思いを乗せ、爆竹で道を清めながら華やかに船を引く様子は、心に染み入る光景です。

流し場からほど近い長崎港ターミナルからは、2015年に「明治日本の産業革命遺産製鉄・製鋼、造船、石炭産業」の構成資産の一つとして世界文化遺産に登録された「軍艦島」への上陸周遊クルーズ船も出航しています。江戸時代に良質な炭鉱が発見され、岩礁に過ぎなかった島は埋め立てによって拡張され、日本初の高層鉄筋コンクリートの造りのアパートなどが立ち並びました。その全景が「軍艦土佐」に似ていることから「軍艦島」と呼ばれるように。風化が進む廃虚ゆえに保存は難しく、今の姿がいつまで見られるかは定かではありません。軍艦島を見てみたいという方は、この夏に訪れてみてはいかがでしょうか。

【グルメ】青森県・東北三大祭り「青森ねぶた祭」と夏のりんご

青森市で毎年8月2日から7日に開催される「青森ねぶた祭」。東北三大祭りの一つとして知られ、1980年には国の重要無形民俗文化財に指定されました。明かりを灯した大きな「人形ねぶた」を山車に乗せ、通りを練り歩きます。

歌舞伎や神話、歴史上の人物を題材にして制作される人形ねぶたは、にらみをきかせた勇壮さや華麗で美しい表情など、さまざまな表情で人々を魅了します。大太鼓をはじめとする鳴り物類やお囃子、「ラッセーラ、ラッセーラ」と掛け声をあげる踊り子の「跳人(はねと)」たちが祭りを盛り上げます。

最終日の7日の昼には、審査によって大賞に輝いたねぶたを先頭に、入賞した団体がパレードします。夜には青森港を出航して陸奥湾沖合を運行する「ねぶた海上運行」と青森花火大会がフィナーレを飾ります。海を行き交う幻想的なねぶたと、夏の夜空を彩る大輪の花火とのコラボレーションは、見る人の心に深く焼きつくことでしょう。

夏の青森を訪れたのならば、名産のりんごもぜひ味わってください。青森のりんごは、栽培面積と生産量ともに日本一。極早生種「夏緑」などのりんごは、８月ごろに食べられます。夏に収穫されるりんごは比較的柔らかくなりやすいので、首都圏にはほとんど出回りません。青森を訪れた際に、ぜひ味わいたい一品です。

夏祭りや花火などの夏イベントは、いくつになっても心が躍ります。非日常感を満喫できる夏イベントを楽しむことを目的とした旅へ、あなたも出かけてみてはいかがでしょうか？

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次回は、2023年8月下旬にお届けの予定です。次号もよろしくお願いいたします。

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